ハートチームで支える患者中心のACS急性期医療
ハートチームで支える患者中心のACS急性期医療
兵庫県宝塚市・医療法人愛心会 東宝塚さとう病院
取材日:2019年6月4日(火)
2001年の開院以来、「24時間365日、循環器の救急は絶対断らない」をモットーに、北阪神地域の循環器急性期医療を牽引してきた東宝塚さとう病院。急性冠症候群(ACS)、中でも急性心筋梗塞(AMI)に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)では、Door to balloon time(DTBT) 30分以内を達成するなど、全国的にも卓越した実績を挙げています。その大きな原動力となっているのが、患者さんとその家族に対する医療者らの“熱い想い”です。多職種間の徹底した情報共有・連携により、ハートチームが一丸となって取り組む“患者中心”のACS急性期医療の現状について、PCI施行例に焦点を当ててお聞きしました。
お話を伺った方々 |
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大辻悟先生(副院長) |
滝内伸先生(循環器内科 主任部長) |
乾由紀さん(ER/OR 担当看護師 副師長) |
北里祐樹さん(臨床工学室 主任) |
有田豊広さん(放射線室 主任) |
猪野恵さん(ICU担当看護師) |
福間綾さん〔2階病棟(心臓センター)担当看護師 副師長〕 |
田原將之さん(理学療法室 室長) |
中石真由美さん(薬剤室 主任) |
DTBT 30分以内達成の原動力~マンパワーが力に
救急搬送されてきたAMI、とりわけST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者では、発症から再灌流までの時間をいかに短縮できるかが、予後を大きく左右します。従来、STEMIに対するprimary PCIで早期再灌流の指標とされてきたのがDTBTです。各種ガイドラインでDTBT 90分以内が目標ないしは最低限の許容時間とされる中、東宝塚さとう病院では2017年のAMIに対する経皮的冠動脈ステント留置術のDTBTが28.8分と、30分以内を達成しています。
最先端の知識に裏付けられた迅速かつ確実なカテーテル手技、各職種の高い技術水準に加えて、副院長の大辻悟先生が指摘するのが、①設備構造と最新鋭の機器②マンパワー③診療科・職種の垣根を越えたチームワーク─の3つの特色です。
まず、無駄な作業動線を極力排除した設備構造。病院建物の外側から救急外来(ER)に救急車が直接到着できる構造となっており、院内のERと心臓カテーテル室(カテ室)間も10mほど。循環器医療に注力する同院では、カテーテル室を3室設置しており、うち1室は外科手術にも対応できるハイブリッド手術室です。
同院では全ての最新デバイスが施設基準をクリアしており、いつでも使用できるように臨床工学技士が細かに調整に当たるなど重症AMI患者にも院内で対応できる態勢が整っています。「それが高い再灌流成功率や予後の向上、手技時間の短縮にも寄与しています」と循環器内科主任部長の滝内伸先生は解説します。
第2のマンパワーについて、現在、同院の循環器内科医は13人。全員が専門医または専門医に準じたカテーテル治療を施行可能で、モチベーションの高い医師がそろっています。「当院の規模で循環器内科医13人は、通常考えられない潤沢な人数です。マンパワーは、忙し過ぎることによるヒューマンエラーの防止にもつながります」と滝内先生。緊急PCIの最小ユニットは、循環器内科医がオペレーター(術者)と助手各1人、臨床工学技士と放射線技師各1人、カテ室看護師2人の6人体制。重症例には救急救命士も加わります。夜間でも2人の救急患者への対応が可能な体制です。
ER看護師が継続してカテ室業務を兼務するのも、同院の大きな特色。カテ室看護師の呼び出しやERとカテ室間の引き継ぎが不要なため、時間短縮に寄与しています。
また同院では、専任アテンダント制を取り入れています。これは、医師が医療以外の事務処理に忙殺されないように、医師1人に対し、事務作業の補助や患者さんからの問い合わせなどの窓口業務を担当するアテンダントと呼ばれる職員を1人配置する制度です。これも医師が治療に専念でき、ヒューマンエラーを防ぐのに役立っています。
タイムアウトでスタッフ全員が情報を共有
第3に、診療科・多職種間に“垣根のない”チーム医療は、同院を際立たせる特色であり、スタッフ全員が絶賛する良好なチームワークはDTBT 30分以内達成の要です。「カテ室において、スタッフがそれぞれの職種の役割を分担するだけでなく、手の空いている人ができることを手伝ってくれ、臨床工学技士が患者さんに声かけをしてくれることもよくあります。“患者さんありき”のカテーテル治療であり、スタッフの仲が良く温かみのあるカテ室であり、守り続けたい特色です」と話すのはER/手術室(OR)担当看護師で副師長の乾由紀さん。同院では普段からカテ室スタッフ間で定期的に勉強会を開き、最新知識の共有に努めています。
カテ開始直前には、外科手術の術前に行うタイムアウトをいち早く導入しています。タイムアウトとは、手技開始直前にカテ室内の全員がいったん手を止めて、患者名、病変部位、手技などの戦略を共有し、安全な施行を確保するための取り組みです。「普段からタイムアウトを行うことによって、緊急時にも各自が何をどのような手順で行うか、“あうんの呼吸”で理解できるメリットがあります。こうした教育体制は、安全上の工夫であるとともに、AMIでのDTBT 30分以内達成にもつながっています」と滝内先生は説明します。
加えて、「心臓血管外科とも垣根がなく、緊密な連携を取っており、互いに助け合える関係です」と大辻先生、滝内先生は強調します。急性心筋梗塞に伴う合併症(心破裂、心室中隔穿孔など)、PCIに伴う合併症(穿刺部仮性動脈瘤、冠動脈穿孔など)が生じたときには、心臓血管外科医が駆けつけます。「チーム内に心臓血管外科医がいることは非常にありがたいです」と滝内先生。こうした信頼関係の醸成には、両科スタッフ間の良好な人間関係だけでなく、「重症例へのPCI施行時には、事前に心臓外科側に一声かけておきます」(大辻先生)といった配慮も、秘訣の1つになっているようです。
データベースを基に患者さんの特記事項を医師に伝達
同院でデバイス管理や画像装置・医療機器の操作に携わる臨床工学技士は12人。全員がカテ室においてデバイス管理を行えるスキルを持っています。ただし、3部屋あるカテ室はそれぞれに特徴があり、使用するデバイスも異なることから、各カテ室にデバイス表を設置し、装置ごとの特徴が一目で確認できるように工夫しています。
また、臨床工学技士はカテーテル治療のデータベース管理を担当しています。手技前に医師が当日予定の待機症例を検討する“カテ検討会”にも同席し、過去の履歴から特記事項情報をすぐに伝えられるよう準備しています。検討会終了後は、カテ室に臨床工学技士が集まり、再度当日の症例について情報確認を行います。臨床工学室主任の北里祐樹さんは「ACSのPCIでは、状況が目まぐるしく変わります。カテーテル治療開始後は、医師がPCIに専念できるように、常に状況を先読みして行動するように心がけています。術中はシネ画像のモニターの高さ、角度を医師が見やすいように調節もします。画像診断では、医師が見たい部位はもちろんのこと、われわれが注意して見てほしいと思う部位も報告し、画像を見ながら医師とコミュニケーションを取るようにしています」と話し、「今後、カテ検討会に限らずタイムアウトの際にもデータベースを活用し、医師だけでなく他のスタッフにも履歴から得た情報を伝えていきたいと考えています」と抱負を語ります。
3D画像を補足する速報レポートの作成で医師を支援
放射線室では、緊急搬送の一報が入るとまず担当を決め、ERの医師や看護師とともに緊急度を確認します。放射線室主任の有田豊広さんは「カテ室がふさがっている場合は、放射線技師が部屋の確保に奔走し、ERやカテ室の医師との連絡を取り持つこともあります」と説明します。
冠動脈CTの読影に関する放射線技師から医師への助言は、日常的に実施されています。特に、待機的PCIの10%を占める難治性の慢性完全閉塞(CTO)例に対しては、医師と放射線技師が術前に綿密にディスカッションを行い、再開通率の向上につなげています。
同院では検査後、即日診察というケースもよくあります。5年ほど前から読影の一助になればと、放射線技師が撮影・解析の後、3D画像とは別に速報レポートを作成しています。「これはシェーマに、『6番狭い、何%の狭窄あり、石灰化がきつい』といったメモやプラークの絵を手書きで記入したものですが、医師から好評を得ています」と有田さん。解析された3D画像を見るには、専用のワークステーションで時間をかけて確認する必要がありますが、診療に忙殺される医師にとっては難しいのが実情です。放射線技師の目を信頼して、まず速報レポートを読んでから3D画像を見る医師も多く、これも同院の強みの1つといえるでしょう。
安全確保の試み~放射線皮膚障害への対策
PCI施行例では放射線による被曝のため、背中に放射線皮膚炎が生じるリスクがあります。「最近では機器の進歩により低線量でも画質が担保されるようになっており、患者・術者の安全を確保できるようになってきています。最新鋭の機器をいち早く導入している当院では、患者さんの皮膚線量をモニタリングしてカラー表示できる機器を備え、撮影方向を修正するなどの工夫も行っています」(滝内先生)。
2019年春に医療用放射線安全関連法令が改正され、被曝線量の記録・管理、障害発生時の指針の記録、放射線診療に携わるメンバーの研修が義務付けられました。同院ではそれに先んじて2018年に安全対策の一環としてカテ室業務改善委員会を設置しています。「患者さんのQOLを担保したいとの思いがあり、放射線皮膚障害防止のガイドラインを参考に、同院の取り組みとして初回外来時に背中を視診するなど、フォロー体制を整えていきたいと考えています。患者さんの満足度の向上を期待しています」と有田さんは意気込みます。
徹底した情報共有と連携で患者・家族に寄り添う
救急搬送されたACS患者に対し、ERで看護師がとりわけ留意しているのが、精神面、社会的背景と家族関係、そして退院後を見越した情報の収集です。「退院後にどういう生活を送るのか、そのためにはどんな情報が必要かを搬送時から意識して収集するように努めています。服薬状況についても、ERで情報収集します。ERで収集した情報は、カテ中の患者さんや家族への声かけにも生かすことができます。収集した情報は診療記録に残し、集中治療室(ICU)や病棟、外来の看護師や多職種で共有しています。看護師間では口頭での申し送りもしています」と話すのは乾さん。
ERで収集する情報は、患者さんと家族の思いや治療後にどうなっていきたいかに加え、家族性高コレステロール血症(FH)の家族歴、黄色腫の有無なども含まれます。「患者さんは、術後に行動制限されるのではないかと心配しています。例えば、ゴルフが趣味の患者さんには、いつごろからどの程度のゴルフができるか、プレー中にこういう症状が出たらいったん座って血圧を測定するようにといった具体的なアドバイスをしています」(乾さん)。
看護師が連携して家族看護にも力を注ぐ
同院の看護部全体で力を注いでいるのが家族看護。各部署の看護師が家族看護チームを組み、家族看護カンファレンスを月1回開催し患者さんの家族の気持ちを考え、対応を協議しています。ERやカテ室の前で不安な思いで待つ家族には、カテーテル治療中の患者さんの状態を把握しているER/カテ室看護師が声をかけるよう努めています。
カテ室退出後、重症例が入室するのがICU。「生命に直結する病気を抱える重症患者さんが対象となるので、迅速なアセスメントと安心できるような声かけを心がけています」とICU担当看護師の猪野恵さんは説明します。ICU看護師は入室前に家族と面会し、患者さんの病状を説明します。医師による術後の説明が理解できていない家族には分からない点をICU看護師が整理し、落ち着いて医師の話を聞ける環境を整えることもあります。
また、2階病棟(心臓センター)を担当する副師長の福間綾さんは「AMIでの緊急入院が多いことから、病棟看護師も患者さんや家族のメンタル面のフォローを意識し、重視しています」と話します。
家族看護に関しては、心臓リハビリテーション(心リハ)を指導する理学療法士も一緒に取り組んでいます。「看護師だけでなく、他のコメディカルスタッフとも協働できるのが、当院の強みです」と猪野さん。重症例が多いため、心リハが始まると看護師から理学療法士に積極的に患者情報を共有するように心がけているそうです。
診療記録を軸に患者ごとの個別指導を目指す
ACS患者では不整脈や心不全、心破裂などの重篤な合併症が起こりうることから、急変リスクを意識しながら看護し、スタッフ指導では合併症を見逃さない、早期発見できるような介入に注力しています。「特に、エコー所見から心筋障害の範囲をチェックし、クレアチンキナーゼ(CK)が3,000 IU/L以上の場合は重症例として看護師間で情報共有するようにしています」と話す福間さん。
緊急時の家族のショック、本人の状態、来院までの経過、自主的か、家族に促されてきたのか、耐えられなくなって来院したのかなどの情報は、その後の指導に関わってきます。ER/カテ室看護師が集めてくれたそうした情報は、診療記録に記載し情報共有しています。ICUでの入院が長期にわたった患者さんの場合、一般病棟に移動できそうになってきた時点で、病棟看護師がICUに出向いて患者さんや家族と顔合わせをし、ICU看護師から話を聞いたり手技を教わったりします。猪野さんは「当院ではICU看護師はICUしか見ないという固定概念がなく、看護部内で担当部署外の看護師が応援に入る“ケア応援”がなされ、継続して看護が行えるシステムになっています」と話し、福間さんは「私たち病棟看護師がICUに出向き、手技や情報を教わることも少なくありません。また、移動前に顔合わせをすることで、患者さんやご家族の不安の軽減にも努めています」と言います。
病棟看護師は、退院に向けて同院で作成した心筋梗塞に関する患者用退院指導パンフレットを活用して病気や食事、薬剤について説明します。病棟では、診療記録に退院指導の項目があり、患者さんから聞き取った話の内容、興味を持った点、問題点を記録として残します。AMIになったことを受容できない患者さん、治療で楽になると完治したと勘違いする患者さんも多く、「まず病識を持ってもらうことが大切」と語る福間さん。外来看護師に対しても、外来で意識して聞いてほしい点などを診療記録上に記録として残しますが、事前のカンファレンスでも情報共有を図っています。
心リハは全員が心リハ指導士の資格を持つ理学療法士が指導
心リハについては、病棟看護師と理学療法士が協働で進めています。福間さんは「入院期間の前半はいきなり無理をせず、まず安静度を守ってもらうことが大切です。一方、後半にかけては退院を視野に入れ、退院後の生活をサポートするための指導になります」と話します。両者が協議しながら医師にも情報提供し、着地点を探るのです。
理学療法室室長の田原將之さんは「入院期間の前半は院内での活動範囲を拡大していく時期であり、心電図(ECG)や身体状態をチェックし、心負荷がかからないように注意しながら、室内歩行、病棟内歩行、ポータブルトイレの使用などと1つずつ拡大していきます。ただし、高齢者やもともと心機能が低い人、重症例では、ケースバイケースの対応になります」と説明します。「後半には、エルゴメーター、トレッドミル、階段昇降や必要に応じて筋力トレーニングなどを組み合わせ、その人なりの生活に必要な運動負荷をかけていきます」。
運動や生活の中で負荷をかけていくに当たっての注意点、再発予防に向けて自分で運動する場合の注意点を指導し、実際に身体を動かしてもらいながら、これくらいならできるということを実感してもらい自信をつけていきます。家族と一緒に治療を進める場合もあるそうです。「指導に当たっては、患者さんや家族の理解度に合わせて、指導内容や伝え方を変えることが大切です」と田原さん。
同院の理学療法士は、全員が心リハ指導士の資格を持っています。入院期間前半の日常生活動作(ADL)を上げていく時期は、理学療法士としての側面がメインですが、後半には心リハ指導士の側面が大きくなってきます。
心リハ指導は、再発予防を目的としており、運動だけでなく食事や薬物療法の指導も行います。患者さんが運動している際に担当をすることが多いため一緒にいる時間も長く、ある程度の段階までは理学療法士が指導し、より専門家的な指導が必要な段階で栄養士や薬剤師に話をつなぐ“橋渡し”としての役割も担っています。
また、「再発予防は、継続できなければ意味がありません。当院では患者さんの年齢、病態、理解度や取り組みなどに応じて、運動、食事指導などにめりはりを付けるなど、個別にオーダーメイドの指導・対応を心がけています」と田原さんは話します。
薬剤師の助言で患者に適した服薬法を選択
「私たち薬剤師は、入院から退院まで同じ患者さんを一貫して担当します。緊急の患者さんも含め、入院時に服用中の薬剤を提出してもらい、薬剤の用法・用量、日数などを確認後カルテに入力し、入院病棟、主治医にフィードバックします」と話すのは薬剤室主任の中石真由美さん。
「担当薬剤師がアレルギーチェック、持参薬の内容確認、服薬コンプライアンスを確認します。新たに処方があれば用法用量・薬効、服薬時の注意事項を説明書に基づきながら、患者さんや家族に説明し、その状況を診療記録に入力することで他職種にフィードバックしています」(中石さん)。
同院では、全病棟で毎週木曜日に定期配薬を行い、金曜日から服薬開始というシステムを取っています。自己管理をしている患者さんには、担当薬剤師が薬を見せて説明し交付します。その際、残薬がないかなど服薬状況のチェックを行います。全病棟の投薬日を統一することで、病棟を移動してもスムーズな服薬継続が可能となっているのです。
ベッドサイドで服薬指導を行う中で、病棟看護師や医師に薬剤の変更・増量・減量などを提案することもあります。服薬継続は退院後の再発予防の鍵となります。退院時には服薬継続の重要性をあらためて患者さんと家族に説明します。
福間さんは「薬剤師がベッドサイドで患者さんの反応や性格を観察した上で、1日3回の服用を朝1回の薬剤への変更や一包化を検討するなど、患者さんの自宅での生活に適した服用方法を提案してくれることがあり、それを私たち病棟看護師が主治医に打診しています。薬剤師のアドバイスにより、個々の患者さんに適した薬剤を選択できていると考えています」と話します。服薬指導の内容も診療記録に記載されており、患者さんの服薬への関心や理解度も情報共有できます。
中石さんは「部署内の縦のつながりだけでなく、部署の垣根を越えた横のつながりを持つように心がけています。他職種との連携が取りやすく、医師への問い合わせもスムーズに行えます」と語ります。
院外・院内の教育にも尽力し、カテーテル技術の向上を目指す
同院では、地域、国内外のカテーテル技術の向上・連携を目指し、さまざまな教育や取り組みを行っています。地域医療の連携については、大辻先生を中心に地域の勉強会としてプライマリケア医向けの“宝塚循環器塾”を定期的に開催し、循環器領域の最新情報の啓発・共有に努めています。近隣の専門医向けには、10人程度が参加する“カテーテルワークショップ”を月1回程度開催し、具体的な手技を継承・指導する勉強会を設けることで技術水準の共有に努めています。
さらに同院は、PCIライブデモンストレーションの実施施設として、日本やアジアにおけるカテーテル技術の向上、均質化やイノベーション(技術革新)を推進する役割を果たしています。「そうした取り組みが、循環器内科医のモチベーションの向上につながっているというメリットもあります」と大辻先生は指摘します。
院内でも、各種カンファレンスが開催されています。PCI関連では、“重症症例カンファレンス”“PCIカンファレンス”などにより、入院患者の情報をチームで共有しています。月に1回外部から著名な医師をアドバイザーとして招いて行う“心不全合同カンファレンス”は、心不全領域の最新知識の研鑽を積むことができる勉強会です。こうした院内カンファレンスには、看護師をはじめコメディカルスタッフも積極的に参加しています。
若手スタッフの育成にも熱心な同院。猪野さんは「ICU看護師として働くうちに、集中ケア認定看護師の資格を取ろうと考え、学校に通い同資格を取得しました。指導方法や関わり方を学び、現在は新人の指導を任されています」と言います。
若手が手本にしたいと思える上司の存在、組織として若手を伸ばそうとする姿勢やそれを実現できるマンパワーと組織力は、同院の大きな強みです。患者さんとその家族を支えるべく、同院のハートチームの挑戦は続きます。
医療法人愛心会 東宝塚さとう病院
〒665-0873 兵庫県宝塚市長尾町2-1
TEL:0797-88-2200(代表)
URL:http://www.hts-hsp.com/
EVO214161MH1(2021年6月作成)